激流渦巻き入り組んだ水路を何とか突破し、「タウラ・ゴス古砦」の「三階」へと上ってきた全員聖職パーティー。
これまでとは様相が一変した白き装飾壁の宮殿が、探索者一行を出迎える。
では、探索を開始する。
この「三階」は、非常に特徴的なフロアマップ構造をしている。
一本の通路が延々と続き、その両側に扉が点在するだけなのだ。
恐らくは、幾重にも連なる鉄格子で阻まれた中央の空白エリアに、重要な「何か」が隠されているのだと推測される。
では、順番に扉の奥を調べてゆくことにしよう。
出現する敵モンスターも強敵揃いで油断できないのだが――
戦闘後に宝箱の「警報」の罠の解除に失敗し、強いどころではない一団が襲い掛かってきた。
いや無理だろこれ。
ウィアードクラウン半端ないって! アイツ半端ないって!
後ろにいる僧侶にめっちゃヒットするもん。そんなん出来ひんやん普通。
――今後は「警報」の罠はスルーしておくのが賢明だろう。
ちなみに、前述した「道化師」は例外としても、その他の敵に対しては、それなりに渡り合えている印象だ。
このフロアには「悪魔」系の敵モンスターが多数登場するのだが、幸いなことに5人の僧侶たちは皆「対悪魔」専用の切り札を持ち合わせている。
魔族を殺す魔法――ゾルトラーク(違う)
僧侶呪文「レベル6」の一つとして習得済みの「アストラルゲート」の集団詠唱により、上級悪魔すらも次々と霊化してゆく。
さらに探索を進める中、とある小部屋で骸骨悪魔と遭遇した。
これは……ゼルク相当ヤバいことになってそうだな。
いずれにせよ、一刻も早くゼルクを探し出す必要がありそうだ。
隠された扉の発見と度重なる「壁スイッチ」の操作により、ついに終着点への道は開かれた。
では、最後の一歩を踏み出そう。
現れたのは「英雄」から「魔人」へと闇堕ちしたゼルク。
その力は未知数――ならば、邪魔な後続には先に消えてもらおう。
後衛メンバーにも容赦なく状態異常&致死の直接攻撃を加えてくる「魔人」ゼルク。
まだ人であった頃にこの力があったなら――真の英雄になれていたかもしれない。
ゼルクパーティーの悪魔たちは、当初の戦術通り全て倒した。
ここからは、ゼルク一人に集中攻撃だ。
ワードオブカースが通常の倍の威力を発揮している。「魔人」だけに聖属性が弱点かと思われる。
また、こちらが「マジックスクリーン」や「アンチマジック」の呪文を使用することで、ゼルクは頻繁に「クリアマジック」を詠唱してくる。相手の1ターン分の行動を無駄に費やさせるという意味で有効な戦術だ。
そして――意外にも「スティールライフ」の呪文が通用した。これは勝ち確だろう。
最後は三桁ダメージの「ワードオブカース」が炸裂し、激戦に決着。
闇の力は消失し――人の姿を取り戻したゼルクは語り始める。
「英雄」ゼルクの最後を見届け、彼の残した「力の魔除け」を手に、城塞都市へと帰還する。
なお、念のため「魔人ゼルク」の居た場所を再訪してみたが――
その「力の残滓」が残留しているのみであった。
彼自身の魂は、アルマと同じ場所へと旅立っていったのだろうか。
では、入手した「魔除け」を「エドラ・クイル城」へと持参し、今回の探索の顛末を報告する。
第二の称号とともに、王国の爵位を与えられた。
これにて「英雄ゼルク」を巡る物語は終幕。
だが、全員聖職パーティーの冒険譚は、あと少しだけ続く。
――そう。ヤツらを倒すのだ。