『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam版の最重要コンテンツとして開発されている、Webシナリオエディタサービス。
クローズドアルファテストの開始時点で開発側からテスト参加の打診を受け、この半年ほどアルファテスターの一員として内密に動作チェック等で協力してきたが、先日、ついにクローズドベータテスト(CBT)の実施段階へと進み、来たるべきオープンベータ(すなわち待望の一般開放テスト)への道が開けてきた。
現時点におけるSteam版シナリオエディタの開発進捗状況、ならびに今後のスケジュールについては、詳らかに公開できる立場ではないため、運営側による公式発表を待って頂く他ない。
その一方で、今回のCBT開始を皮切りに、クローズドアルファテスト段階では完全に極秘扱いだった新シナリオエディタの画面構成や機能について、晴れて情報公開が認められるようになった。
新エディタの個々の機能については、折を見てこの場でも随時紹介しようと考えているが、旧版のシナリオ作成ツールを基にしつつも、多くの新要素が導入されたオンラインエディタとなっている。
UI/UXに関する改善案や、新機能の要望についても日々開発側へのフィードバックを続けているため、今後さらに洗練された状態に仕上がっていくことは間違いないだろう。
また同時に、今回のSteam版シナリオエディタを用いて制作したユーザーシナリオの一般公開についても、既に開発運営側からの許可が下りている。個人的には、新エディタ上で一から制作を進めてきた新しいシナリオの公開に向け、鋭意テストプレイに取り組んでいる、という状況だ。
とは言え、今回のテストプレイの主たる目的は、あくまでも新エディタの一日も早い一般開放を実現するための動作確認&フィードバック作業である。したがって、過去に経験してきた通常のシナリオ制作よりも遙かに手間が掛かり、当初の想定以上の時間を要している感は否めない。
当面の目標としては、Steam版シナリオエディタの一般開放(=オープンベータ)にあわせて自分のシナリオも公開できればよいかな、と考えている。新たなエディタで設定可能な内容をあれこれ詰め込んだユーザーシナリオのひとつの作例として、だ。
さて。ここから先は完全に個人的な妄想だ。
これまでのゲーム業界は、開発運営側が制作したコンテンツをユーザーが消費する、という流れで発展してきた。
しかし近年の状況を鑑みるに、今後は運営側がゲーム制作ツール&公式配信プラットフォームを提供し、名も無き数多の一般ユーザーが個人で制作したゲームコンテンツを公開する形式が主流になる、という未来を想像している。
YouTubeが動画配信のプラットフォームを提供し、一般ユーザー制作の動画によって巨大な映像コンテンツサービスへと成長を遂げたように、である。
もちろん、一本の動画とゲームコンテンツでは制作の難易度や要求される手間暇が明らかに異なるわけだが、今回のSteam版シナリオエディタが、ゲームシナリオ制作のハードルの高さを格段に下げる一例となり得る可能性は感じている。
兎にも角にも『Wizardry』という3DダンジョンRPGの始祖の名を冠したゲームコンテンツを自らの手で創作し、全世界に向けて公開できるのだ。
創作への思いを抱いた無名のゲームクリエイター候補者は多数存在するだろう。この『ウィザードリィ外伝 五つの試練』の新たなシナリオエディタによって、まだ見ぬ未来のユーザーシナリオ制作者の創作衝動が解き放たれることを願う。
今から17年前、旧版のシナリオ作成ツールに触れた当時の自分がそうであったように。