「ウィザードリィ外伝 五つの試練」Steam版向けシナリオ更新ツールのレビュー

周知の通り、昨日「ウィザードリィ外伝 五つの試練」Steam版が無事(?)にリリースされた。既に迷宮探索に没頭している方々も多いかと思うが、これまでの経緯を考えれば、まずは一安心である。

Wizardry外伝 五つの試練
『6』で大幅な現代化を図った後、革新的な戦闘システムで海外で非常に高い評価を得た『8』までが作られた3DダンジョンRPGシリーズ『ウィザードリィ』。同シリーズで多数が作られた、シンプルなRPGシステムのスピンオフの中でも高い評価を獲得した『...

しかし、旧版のユーザーシナリオ制作者としては、ここからが本番なのだ。

開発運営側に発売時点での「非公開」設定を依頼した自作のシナリオ4本。内容をリメイクしたプロジェクトファイルでゲームデータを更新し、Steam版でのテストプレイを完遂するというタスクが待ち受けている。とは言え、精魂込めたシナリオを誰よりも先に堪能するという至福の時間ではあるのだが。

「Steam版向けシナリオ更新ツール」即日配布!

旧版シナリオをSteam版に対応させる「変換ツール」に関しては、後日公開とされていたため、漠然と年内の配布を想定していたのだが……

まさかの本体との同時リリースという事態になっていようとは。よもやよもやである。

当該ツールに関しては、旧版の公式ウェブサイトのシナリオエディターサービスのページにログインすると、ダウンロードリンクが表示される。

早速ツールをダウンロードし、自作シナリオデータの更新を行ってみた。

今回配布された「Steam版向けシナリオ更新ツール」を立ち上げ、旧版シナリオエディタのプロジェクトファイルを読み込むことで可能になる作業は、大別すると「作品の更新」ならびに「サーバーメモ設定」の2つである。

作品の更新

旧版のシナリオエディタで編集した既存シナリオの更新データを、Steam版のシナリオ配信サーバーへ登録することができる。

プロジェクトファイルを読み込むと、「作者名」「作品名」「シナリオコード」が自動的に反映される。まずはそれらに間違いが無いことを確認したい。

次に「シナリオファイルの更新」をクリックすることで、当該のプロジェクトファイルの内容が、ユーザーシナリオの配信サーバーへと反映される。ただし、この時点ではシナリオが公開状態になっていない。

シナリオを「公開」すなわちダウンロード可能な状態にするためには、最後にステイタス「公開中」もしくは「開発中」を選択し、「公開ステイタスの変更」をクリックすればよい。これが全てだ。至極簡単である。

また、オプション項目として「禁止ワードチェック」機能が存在する。

これは事前にブラックリストに登録されている「禁止用語」が、シナリオのプロジェクトファイル内で使用されていないかを確認できる機能である。リストの登録内容が公開されているわけではないが、原典Wizardry #1~5の関連ワードを検知する機能であると解釈すればいいだろう。

ツールに同梱されているReadmeファイルでも、以下のように注意喚起されている。

本ツールを用い、『ウィザードリィ』旧作のユニークな要素(固有名詞・ダンジョン構造)を利用したシナリオへと既存シナリオを更新した場合、該当のシナリオコードの取り消し、該当ユーザーの非Steam版製品キーの即時取り消しなどの措置を行わせて頂く可能性があります。

違反行為は個人の垢BANのみならず、場合によっては「ウィザードリィ外伝 五つの試練」それ自体の存続に影響を及ぼす恐れもあるため、厳に慎みたい。これはガチである。

サーバーメモ設定

「ウィザードリィ外伝 五つの試練」Steam版本体の、シナリオ選択画面における各種表示を編集することができる。

まず「検索事項」に関してだが、これは単にそのシナリオに該当する項目を選択するだけだ。

難易度やプレイスタイル、クリアレベルやプレイ時間については多分に主観が入るだろうが、とりあえず自分が思うように選べばよいのではないだろうか。

一方で「作者コメント表記」は自由度が高い。

6枠まで自由に記述できるので、文字数を考慮しながら、自作シナリオの宣伝文句等を入力しておきたい。

ちなみに「ウィザードリィ外伝 五つの試練」ゲーム本体上のシナリオ画面では、作者コメントは次のように表示される。

なお、「サーバーメモ設定」に記述した内容は、「作品の更新」から「シナリオファイルの更新」をクリックするまで配信サーバーに反映されない。

また、この「Steam版向けシナリオ更新ツール」で入力した内容は、旧版のプロジェクトファイルに保存されるわけではない。したがって、「検索事項」や「作者コメント表記」の入力内容は、念のため画像やテキストデータで別途保存しておく方が良いだろう。